金融円滑化法への対応は会計事務所の存在価値を高める!
金融庁によると、金融機関の円滑化法への対応状況は、円滑化法施行以降の約2年間にわたる取組みにより、貸付条件の変更などの実行率が9割を超える水準となっているほか、「金融機関の間の連携がよく行われるようになっているという声が聞かれるなど、基本的には、その取組みは定着してきていると考えられる」。
一方で、貸付条件の再変更などが増加している、貸付条件の変更などを受けながら経営改善計画が策定されない中小企業者も存在している、などの問題を指摘する声もあるという。
金融庁では、このような点を勘案し、金融規律の確保(健全性の確保・モラルハザード防止)のための施策を講じる一方、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮を促すとともに、「中小企業者などの真の意味での経営改善につながる支援を強力に押し進めていく(「出口戦略」)必要がある」としている。
このため、「外部機関や関係者の協力も得つつ、検査・監督上の対応も含め、総合的な出口戦略を講じることにより、中小企業者などの事業再生などに向けた支援に軸足を移していかなければない」(金融庁)。一方で金融庁は、そうした移行を円滑に進めていく(「ソフトランディング」)必要があるとし、現行の円滑化法を今回に限り2013年3月末まで再延長することが適切と判断。
このように金融庁の発表から来年を見据え、対応が必要な顧問先については現状分析をしっかり行い会計事務所として支援することが重要です。
決算診断から経営改善計画へ
- 資金繰りが厳しい中、借入れに依存しているケースが多いので、資金不足を起こさないための売上高(収支分岐点売上高)を確認します。そこで、資金繰りの改善検討(売上・経費・借入等)を行います。
- これらの試算した数字をもとに、経営者と経営改善策を検討します。今できることは何か、将来的に取り組むべきことは何か。改善のヒントを参考にしていただき、取り組むべき課題を明確にします。
- 事業計画システムで、資金繰り改善計画を中心に作成して、金融庁の言う「出口戦略」(赤字経営からの脱却・健全経営)へと導いていきます。
会計事務所の存在価値は、経営が厳しいときに親身になって相談できる関係(安心と信頼)であると思います。2013年3月までに対応が必要な顧問先については、経営者と共に話し合い、社長の四季(決算診断・マネージメントパワー・事業計画)を有効活用して行きましょう。