固定比率
自己資本比率は、会社が保有する財産全体を使っての総合的な返済能力の高低がわかります。会社が保有する財産について、更に細かく分析してみると、換金が容易なものから換金しにくいものまで、バラバラに存在していますし、仮に換金可能だとしても、どの位の金額で換金可能か、換金にどの位の時間を要するかについて、確実に予想できるものから予想しにくいもの、更には換金することが事業の存続そのものに重要な影響を与えるもの(工場設備や店舗のようにそれを処分してしまうと、生産や営業ができなくなり、ひいては、事業活動がストップしてしまうため、換金化を考えるときは、究極的な場合に限られ、通常、換金化の対象になりにくいものといえます。)まで、さまざまなものがあります。
こうした会社の保有する資産のそれぞれの属性、質的な役割の違いに応じて、会社の総資産を考えてみる必要があるのではないか。このような点から考えだされた指標が固定比率です。これは、固定資産の自己資本に対する割合です。固定資産は、土地、建物といった設備的資産ですので、その回収には、長期間かかります。このような設備的資産については、返済が必要な資金を利用しますと、早く返済しなければならないというプレッシャーがかかります。これを避けるためには、このような設備資産については、返済の必要のない資金で充当するのが健全な経営の考え方です。固定資産は、返済の必要のない自己資本によって賄われるべきとする考え方が固定比率です。