固定長期適合率
健全な経営にとっての、自己資本比率や固定比率の重要性は、理解できると思います。しかし、設備投資を、全て自己資本の範囲で行うということになると、設備投資に対する抑制力が強くなります。不健全な経営にならない範囲での設備投資のあり方を考えようとするのが固定長期適合率の考え方です。ある設備投資をしようとするとき、返済の必要のない自己資本で、全てを賄おうとする考え方は当然ですし、それこそが健全経営の基本といえます。仮に設備投資が失敗したとしても、それに要した資金回収ができなくなったとしても、返済に窮することはありません。しかし、これでは、設備投資の範囲が自己資本内という足かせになり、十分な設備投資ができない場合が生じます。それでは、健全性を損なわない範囲での設備投資のあり方はないでしょうか。それが固定長期適合率です。
固定資産は、固定負債と自己資本の範囲内であれば、良いとするものです。確かに固定資産は、回収に長期間を要するので、返済のない資金(自己資本)が望ましいが、返済の必要資金であっても長期的に返済してもよいもの(固定負債)であれば、直ちに資金繰りに窮することはないといえるので、健全性を損なうこともないと考えられるし、全て自己資本で設備投資をするのと比べて、自由度の高い、タイムリーな設備投資ができるというメリットがあります。その意味で、固定長期適合率は、設備資産の調達資金の安全度として重要な指標といわれている所以です。