流動比率
今までの議論は、返済の必要がある資金か(負債)そうでない資金か(自己資本)という、返済の有無を中心に経営の健全性を考えてきました。しかしこれでは、余りにも大雑把すぎます。同じく返済が必要であっても、今すぐ返済するもの、1年以内に返済するもの、5年後に返済するもの、とさまざまな返済要件のあるものがあります。そこで、返済期間という点に注目して、短期間に返済する必要のあるものと、それに対する備えが十分できているかを考える必要があります。ここでは、返済期間として、どの程度を考えるべきか問題となりますが、決算書上、1年(又は、通常営業循環期間)という期間をベースとして、短期と長期を分けます。短期的に換金可能な資産が流動資産、短期的に返済必要な債務が流動負債といわれます。短期的に返済する必要のある債務(流動負債)は、短期的に換金できる資産(流動資産)として準備しておくのが、健全な経営であり、安全性の基礎となる考え方です。その意味から流動比率が一定程度要求されるのは当然です。債務返済能力の点からすれば、流動比率は、高い程望ましいとされていますが、一般的には、200%が一応の安全確実の目安とされています。