借入月商比率
借入金は、両刃の剣です。上手に活用できれば、莫大な利益を得ることができるし、下手をすれば返済不能となり倒産です。経営においては、「好機逸すべからず」であり、タイムリーな資金調達は不可欠です。その意味で、いつでも調達できる資金が沢山あることは、経営に活力を与えます。しかし、いくら調達できる資金が沢山あるといっても返済する必要のない自己資本ならいざしらず、返済する必要のある借入金の場合、それが余りにも多いと返済リスクが高まり、経営の安定度を疎外します。そこで、適正な借入はどの程度なのかをみる尺度として、売上との関係を明らかにしたのが、借入月商比率です。売上から売上代金の回収に至る資金化の期間は、業種、業態によって異なりますが、企業毎に大体一定しています。
そこで、売上の何ヶ月分の借入金であれば安全なのかが大体わかります。問題は、借入金というのは、安定的に推移しますが、売上の方は、企業によって、急激に増加したり、減少したりすることがある点です。特に売上の変動の著しい業種、景気変動によって売上の大幅な落込みのある業種、構造的な不況業種等にあっては、売上と借入金のバランスを考えることが、大変難しいといえます。過去においては、売上月商の2~3ヶ月位であったものが、売上の急激な落ち込みで、売上の6ヶ月にもなるというケースもあります。その意味で、売上高の水準と借入金の関係は注意しなければならない指標です。