預金対借入金比率
今までは、借入金の絶対額を、総資産や売上との関係でみてきましたが、銀行取引の現状を考えると、無理して借入をしなくてもよい企業が、銀行取引の付き合い上から一応借入れておこう。当面使い道がないので、定期預金にしておこうという場合があります。更には、現在金利が安いので、特に資金利用の必要性がないが、安定的な資金確保の為に借入をしておこうという場合もあります。以上のような場合は、主として銀行からのアクションで「是非借入れて下さい」という要請でなされる場合が多いと思われます。又、法的には問題がある歩積両建預金のように借入に対して、一定の拘束性の預金が求められるケースもあります。
そこで、借入金の絶対額だけを見るのではなく、その借入金に対応する形で、現金預金をどの位もっているか、場合によって、いつでも全額借入金を返済することが可能な現金預金をもっているケースも考えられます。このような企業は、名目的に借入金があるにすぎず、実質的には無借金経営ということになるでしょう。その意味で借入金が多いということで、経営が不安定と考えるのではなく、預金対借入金比率を見ることによって、借入金はあるが実質的な借入金といえるものが実は大したことはないというようなことが判定できます。この比率は、借入金依存高を更に分析するために重要です。