労働分配率
ヒトはなぜ一生懸命働くのか。この会社の中で一生懸命働こうという気持ちが何故おきるのか。いろいろな要素が考えられます。いわば社員のやる気の根源は何かということです。それの1つには、社風かもしれません。社長の資質かもしれません。良い職場環境、良い仲間といったものかもしれません。さまざまなものが考えられますが、給料もその1つと考えられます。従業員を安く、長時間働かせて利益を出すという時代は、もはや過去のものとなりつつあります。そんなことをしたら、従業員がいなくなってしまいます。優秀な従業員を永く会社に引きつけておくことができる能力、従業員満足度は、長期的な会社の繁栄を考えるとき、大切な視点です。その際、従業員への給料が従業員の会社へやりがい、モチベーションにとって、大きな要素の1つとなることは明らかです。
給料は、単に多ければ多い程良いというものではなく、自分達の仕事に対して、会社が正当に評価したものでなければならず、会社の身の丈にあった配分を考えることが重要です。労働分配率は、会社が新たに生み出した限界利益(付加価値)に対して、従業員に給料として、どれだけ報いたかという点を考えたものです。ここでいう給料というのは、役員及び、従業員へ直接支給したものに限らず、会社がその者を採用することによって、負担すべき費用(社会保険等の法定福利費、給食費などの福利厚生費、通勤費、能力開発等の人材開発費等を含めた)の総額を考えることが重要です。この適切な分配は、会社が「ヒト」を経営資源中の最高の財産と考えるうえで、極めて重要になってきます。労働分配率は、限界利益(付加価値)の中に占める従業員への支払額として与えたものです。この比率は、余りにも多すぎると経営圧迫要因となりますし、逆に余りにも少ないと従業員らのモラルダウンの原因にもなりますので、それぞれに企業にあった明確な基準を考えるべきです。