総資本経常利益率
企業活動は、一定の財産をスタート(元手)として、これをいかに有効に活用して稼ぎ出し財産(利益)を貯蓄していったか。これが、最も重要な企業活動の指標といえます。いかに稼いだ(利益)か、いかに財産を増やした(自己資本)かということです。損益計算書を見ればわかりますが、この稼ぎ(利益)には、種々の段階があり、稼ぎ(利益)の質的な違いに注目して、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益といった風に分類されています。
さて、「総資本経常利益率」についてですが、会社の財務指標の中で1つだけをあげよ、と言われるときは、必ず言われるのがこの指標です。これによって会社は、保有する全財産で、どれだけの利益を稼いだかが明らかにされます。会社が保有する全財産(総資産、総資本)を基礎として、反復、継続した企業活動によってもたらされる利益(経常利益)が、どれ位あるかをみるのですので、無駄な財産や、利益を生まない財産が多くある場合や、利益の少ない企業は悪くなります。その意味で、総資本経常利益率は、全体としての会社の総合的な収益力をみるには適しています。しかし、これだけをみても、会社をどのようにしていくのか、という将来展望力が直ちに出てくるわけではありません。従って他の分析数値も併せて考えていく必要があります。