2026/08/06世間の学校
時流を読む「賃上げの潮流」-人口減少、人手不足、人材獲得競争から賃上げへ-
経営資源を構成するものとして、ヒト、モノ、カネがあるといわれている。それらに対
する値段としては、ヒトに対して賃金、モノに対して物価、カネに対して金利が考えられ
る。このうち今日取り上げるのは、ヒトの価格である賃金の動向。
企業経営にとって人件費の負担は大きい。しかし、人件費をコスト面だけでみるのは片
手落ちであり、人件費は儲けの要となる人材の原点でもある。こうして人件費の動向は、
企業経営にとって最重要課題といえる。バブル崩壊、長引くデフレの時代に於いては物の
価格は下がり、賃金もその例外ではなく、殆どupすることなく進んできました。しかし、
ここに来てデフレ脱却した日本経済において、ようやく物価も上昇し始め、そして、人件
費、賃金も上がり始めている。日本経済新聞による2026年の賃金動向調査によると平均賃
上げ率5.4%といわれている(大企業に対するアンケート調査)。
人口減少時代における人手不足も顕著となっており、人材に対する企業の要求は強く、
何とかして良い人材を採りたい、優秀な社員に退職されてもらっては困る。何とか人材流
出を食い止める必要がある。そのためには、ある程度の賃上げは不可避というのが多くの
企業の動向のようだ。そして出てきた数字が平均で5.4%の賃上げ率ということらしい。
5%以上の賃金upをしないと人材獲得ができず、これからの企業競争に勝ち抜けないよう
だ。この動向はあくまでも労働組合があるような大企業の話であり、首都圏の話である。
そして大企業は、インフレ対応の価格転嫁や生産性の上昇によって、この賃金upは、何と
か吸収できると考えられている。
それでは、この流れは地方、そして中小企業にも及ぶのだろうか。人口減少、人手不足
で人材獲得の必要性は、大企業だけでなく、中小企業においても同じ状況にある。とりわ
け労働集約的な企業が多い中小企業においては、人手がないと経営が成り立たない。その
ためには、この賃上げの動向を受け入れざるを得ないのが現実といえる。しかし、果たし
てそれは可能なのか。とりわけ中小企業の生産性向上の問題が大きい。賃金が5%以上up
して地方の中小企業はやっていけるのか、という問題だ。これに追い打ちをかけるのが現
在進行中の中東紛争による原材料コストのupだ。特に石油由来のナフサはその用途が広く、
コストupの直撃をもろに受ける。まさに中小企業経営は踊り場にあるといえる。生産性の
高い中小企業を目指すために何が求められているか。ここで力を発揮するのが決算診断と
いうことになる。正確な決算、そしてきちんとした分析を通して、明日の一手を探るヒン
トが見つかるものと期待されている。