2026/07/16世間の学校
時流を読む「中小企業取引の新しい流れ-中小受託取引適正化法の施行へ」
賃金や物価上昇が本格化し、いよいよインフレが進行し始めたようだ。そして、今年は
賃上げの浸透が中小企業にも及ぶとされているが、その影響は問題となる。労働組合の総
本山である連合は大企業中心。そこでの賃上げは5%を越え、物価上昇を上回っている。
この流れが中小企業や地方経済に及ぶかが問題視されている。
中小企業の多くは、生産性が低く、この賃上げに耐えられないのはでないかと言われて
いる。それではなぜ、中小企業の生産性が低いのか。いくつかの理由が考えられるが、ひ
とつには、中小企業の大部分が大企業の下請けであり、大企業の優越的な地位に抵抗でき
ず、大企業に逆らうこともできず、不当な価格を押しつけられ、それに異を唱えることが
できないからという事情がある。資本主義社会では、契約自由の原則があり、対等な当事
者の自由な取り決めで契約が成立するとされている。不公正な取引や独占による価格支配
力に対しては、公正取引委員会によって監視されているはずだが、現実には、大企業の圧
倒的優位に対して中小企業はそれに従っていかないと生きていけないのではないか。この
状況は間違いなくあると思われる。そこで、どうすればよいか。これが次の問題である。
それが今回の中小受託取引適正化法(取適法:とりてきほう)だ。従来の「下請代金支
払遅延防止法」を改正したもの。委託業者が意図的に禁止行為をすると公正取引委員会か
ら勧告され、社名を公表される可能性がある。この公表は、大企業にとってはブラック企
業の汚名を生じることになり、大企業にとっては厳しい要請となるが、中小企業にとって
は、対等な取引事業者としての適正価格の実現に対する期待が高い。これによって適正な
値上げが実現できれば中小企業の生産性向上に寄与する可能性が高い。しかし、本来なら
ば、法律に依存した生産性の向上ではなく、自主的、自律的に中小企業が生産性の向上に
取り組むのがあくまでも本筋であり、この点は忘れないで欲しい。