2026/05/07世間の学校
言葉は語る「逆基準性」
会計の世界では、よく聞く言葉ですが、一般の経営の世界では、それほど使われること
がないのではないか。今回取り上げる逆基準性とは、そのような言葉の一種といえます。
逆基準性とは、どういうことなのか。企業会計の基準は全ての企業が守らなければなら
ないルールと言われています。企業の実態を会計面で明らかにするのには、どうすれば良
いか。それぞれの企業がルールを勝手に決めて、好きなようにやれば良いのか。もし、そ
うなると企業の実態は企業ごとにバラバラとなり、どれが良い会社なのかの判断がつかな
くなってしまう。そこで、全ての企業に共通して適用される会計ルールが求められる。
こうして、できたのが会計基準といわれるものである。企業会計の現場の中から発生し
たもので共通項を帰納要約した原則といわれる。そのため、全ての企業が守るのが会計基
準であるから、会計基準準拠性こそが会計の世界の常識のはず。そして、会社法でも、「公
正なる会計慣行」の遵守を求めている。その意味では、税金の計算(特に法人税)におい
ても、企業会計基準に準拠して行われるべきものと思われる。しかし、現実の中小企業会
計においては、税務の規定を意識して、税法基準の会計ルールがまかり通っており、逆に
税法規定が企業会計に制約を与えている。このことが逆基準性といわれるものだ。
特に税務上の減価償却方法が会計処理を縛るケースが代表的なもので、税務で定額法と
定率法の変更をしたり、耐用年数を変更したりした場合、税法に合わせる形で、税法の変
更が会計制約要因となっている。「会計が税務を規定する」という大前提がくつがえされ、
「税法が会計を規定する」状況がこの逆基準性といわれるもの。会社からみれば、税金が
コストである以上、このコスト最小化は、会社の合理的な行動といえるが、税を意識した
会計から会計を意識した税への道を考えてみる必要がありそうだ。最近では、会計が税法
に影響を与えている例として、時価評価の問題やリース取引等があり、税法も会計を意識
していることは少しずつ多くなっているようだが、これからどうなるのか注目してみてい
きたい。