会計事務所/税理士のための決算診断システム「社長の四季」

株式会社プロス/社長の四季

決算診断コラム

会計事務所経営・企業経営のお役立ちコラム

世間の学校
数字は語る「20 兆円超過」

 会社の目的とは何か。何のために会社を作るのか。これを原点に立ち返って考えてみよ
う。ここに 1,000 万円のお金があるとしよう。このお金をできるだけ早く増やしたい。ど
うすればよいか。誰かに貸付けて利子を取るか。株や土地を買って利益を取るか。しかし
それでは、不確実で逆に損することもあるし、儲けても少なすぎるかもしれない。もっと
確実に稼ぎたいとすれば、どうするか。自分で会社を作り、そのお金を増やしてみてはど
うか。しかし、自分で起業する程、自信はない。自分で作らなくてもよい。誰かが会社を
作り、上手く運営してくれるならそれに参加しても良い。こうして、会社は金儲けの道具
としてスタートする。しかし、会社にも寿命がある。いつか終了した時には、出資者にお
金を返して終了。こうして会社はお金に始まり(金銭出資)、お金に終わる(残余財産の
分配)。

 そうだ、会社はお金を増やす現金製造装置なのだ。増えたお金は出資者(株主)のもの。
どうやって、出資者に増えたお金を分配するか。会社存続中は配当という形で会社終了時
は、残余財産の分配という形で会社が株主へ配当するのは当たり前。これが現実のものと
なったのが 2026 年 3 月期決算だ。上場企業は純利益の 4 割相当、金額にしては、なんと
20 兆円超を株主に配当するようだ。かつては、安定配当主義として、金利+α程度の配
当で利益状況に関係なく安定した配当をしていたものが、株式市場に外国人投資家が参入
して、モノ言う株主の登場とともに、利益を出せない経営者はクビだ。企業価値を高めら
れない経営者はやめてもらうと、経営者は株価や株主をドンドン意識するようになった。
そして、配当についても、利益対応型の配当(配当性向主義)へと変化した。当初は、利
益の 20~30%程度とするものが多かったが、今や 4 割相当へ。自社株取得も広く認めら
れるようになり米国並みになったようだ。個人株主が増えればその恩恵が家計にも及ぶ。
年金+配当といった老後の生活設計にも寄与しそうだ。配当重視の流れは中小企業にも波
及するかもしれない。しかし、本当にこれで良いのか。利益は株主だけのものとは限らな
い。従業員への配分(賃金 up)も考えるべきなのか。悩ましい問題でもある。

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取締役会長
浅沼邦夫