2026/04/03世間の学校
数字は語る「時給 1,000 円超時代」
人が生きていく為には何をするべきか。資産を持たない人間にとっては、労働の提供以
外に方法はない。生活の糧となる労働の対価としてもらえるお金が賃金に他ならない。こ
うして労働者の賃金は生活基盤そのものといえる。憲法 25 条の健康で文化的な生活を営
むためには、最低限の保障としての賃金の確保が不可欠となり、まさに最低賃金こそ労働
者のデッドラインといえる。
2025 年度最低賃金がようやく決着した。全国バラバラな経済状況からするとこれを一
律に決めることには問題があるが、結果から言うと全国平均で 63 円増(約 6.9%)の 1,121
円と過去最高の伸びを記録し、国の目安を上回る地域が続出した。これにより、全ての都
道府県で時給 1,000 円を超えた。東京都が 1,226 円で最高。神奈川県 1,225 円、大阪府
1,177 円と続き、新しい賃金は 2025 年 10 月から全社に適用される。適用範囲は、正社員、
パート、アルバイト、派遣労働者と雇用形態に関係なくすべての労働者に適用される。物
価上昇が続く中、何とか生活水準を維持するためには物価上昇を上回る賃金 up が欠かせ
ない。インフレを上回る賃金上昇は政府の目標だ。最低賃金をどうするのかの目安で重視
される主な指標は 3 つあると言われている。①生計費(物価) ②賃金(春季交渉の賃上
げ率) ③支払能力(付加価値、労働分配率)。そのため、最低賃金は、働く人の生計費
と世間一般の賃金水準と企業の支払能力を根拠に労働者、経営者、公益(学識者)の 3 者
で構成する審議会で具体的な金額を議論して決めている。
今回の最低賃金の引き上げが企業経営に与える影響は複雑のようだ。高騰する人件費対
策として省人化投資に進む企業もある。この場合、投資資金をいかに確保するのかの問題
もある。高度化する人材獲得のための人件費に適応できる企業は生き残り、適応できない
企業は倒産という事態もあり得る。あるいは、人を使わない事業形態への転換もあるかも
しれない。いずれにしても今後の人手不足は不可避であり、人材獲得競争も熾烈を極める
と思われ、そこで賃金 up は、避けられないし、最低賃金だけの問題ではないのかもしれ
ない。しかし、最低賃金は、法律の基準でもあり、この賃上げに対応できる企業だけが生
き残れるのである。こうみると、中小企業としては、最低賃金の引き上げは茨の道となる
のかもしれない。