2025/12/25世間の学校
言葉は語る「貸金庫窃盗」
前代未聞の大事件が起こった。最も安全であるはずの銀行の貸金庫内にある金品が銀行
員によって盗まれたのである。事件は 2024 年 10 月に貸金庫の利用者から貸金庫内にある
べき中味がなくなっているとの申し出を受けて、三菱 UFJ 銀行が調査に乗り出して判明。
同行は同 11 月付で犯人である元銀行員を懲戒解雇し、同 12 月に刑事告発した。
犯人である元銀行員は、1999 年に一般職として入行し、その後、総合職に転じ、2020
年 4 月に東京都内にある江古田支店のお客様サービス課長に就任。そこでは、貸金庫に関
する業務の管理責任者を勤めるようになる。22 年 6 月に江古田支店が練馬支店に統合さ
れ、同支店の業務課長や支店長代理になり、引き続き貸金庫の管理責任者を勤めていた。
銀行側はこの人物を全面的に信頼していたようだ。不正の手口はかなりいい加減なもので
あるが、誰もチェックしない以上、発見のしようがない。銀行内の調査は全く行われてお
らず、いわばノーチェック状態といえる。従って、銀行内で発見することはできず、被害
者からの声しか判明しようがなかった。
不正をした本人が悪いのは当然としても、それを長い間放置していた銀行の責任はどう
なのか。会計監査における会計不正の発生原因として、不正のトライアングル、①機会 ②
動機 ③正当化 といわれるものがある。どうして不正は起きるのか。これを通して、ど
うしたら不正を防止できるのかという原則である。不正が起きるためには、本人の側に動
機があり、その動機を実現させる機会があり、その不正を正当化する組織風土があるとい
うものだ。この事件は、管理責任者に一切を任せきりにして、事実上のノーチェック状態
があったことに問題があったようだ。いかに巨大なメガバンクといえども不正問題はどこ
にでも存在する問題として、取り組んでいく必要性を教えているようだ。この点は、中小
企業にとっては、もっと深刻な問題に留意する必要があるし、中小企業では、少ない人数
で運営されるため、責任者が長期間ノーチェック状態で仕事をすることは多いようだ。人
を信じることは大切だが、疑うことも忘れてはならない。いかに仕組みがしっかりしてい
ても、人の不正は常に起こりうる事だと考えておかなければならない。