会計事務所/税理士のための決算診断システム「社長の四季」

株式会社プロス/社長の四季

決算診断コラム

会計事務所経営・企業経営のお役立ちコラム

世間の学校
言葉は語る「企業の非財務情報」

 会社はこれからどうなるのか。我々が知りたいのは未来の姿だ。未来のことは誰にもわ
からないと言ってしまえばそれまでだが、それでも何とかして会社はこれからどうなると
予測することは大切だ。

 ここで、役に立つのが決算書から得られる財務情報だ。決算書といわれるいわゆる財務
3 表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を用いて様々な財務比率を抽
出してその数値をベースとして過去との比較や同業他社との比較を通して決算診断を行
い、それをベースに未来予測を行おうとするものだ。ところが最近の急速な AI や IT の進
化が社会をより一層複雑、不確実な VUCA の時代をもたらし、未来予測が困難な時代に突
入している。特に財務情報について、その延長線上での予測は困難を極める。そうなると
未来予測をあきらめるか、それとも別の方法を考えるか、いずれかとなるか、諦めるのは
論外としても何が良いと別の方法があるのだろうか。

 そこで、特に昨今注目されているのが非財務情報の活用だ。伝統的な財務分析、財務比
較とは異なり、財務を形成する企業インフラの状況としての研究開発力、商品開発力、技
術開発力、コンプライアンス、マネジメント力、リーダーシップ、サスティナビリティ力、
企業ブランド価値、ガバナンス力、リスク管理力、エンパワー力、エンゲージメント力・・・。
様々な非財務情報の価値が重視される時代になった。確かに決算数値は企業活動の成果で
あり、現状であることは間違いないが、その企業活動は、人間力、企業力の集大成ともい
える。となると、数字の裏側にあるもの、数字を作っている人や組織の分析は大切だ。

 しかし、このような時代にあっても財務情報の重要性がなくなることを意味するのでは
なく、財務情報と非財務情報との上手な併用が求められている時代になったともいえよう。
さらに非財務情報を何とか数値化して見える化を考えている企業も多くなっている。決算
診断における財務分析とマネージメント・パワーの併用はまさにそれに該当するものだ。
ぜひ両者の上手な活用を進めて欲しい。

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取締役会長
浅沼邦夫