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株式会社プロス/社長の四季

決算診断コラム

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世間の学校
人を読む「伊勢ヶ浜春雄(元横綱照ノ富士)」

 相撲の世界ほど実力が試されるスポーツはないのかもしれない。ガチンコ勝負は迫力満
点であるが、一歩間違えれば 150 キロ以上の人間同士のぶつかり合いでケガはつきもの。
そのケガもかすり傷というわけにはいかず、骨折などは当たり前の世界。どんどん勝ち進
めば、大関、横綱も夢ではない。しかし、運悪くケガで休場ともなれば、どんどん番付は
下がっていき三役から平幕、十両、幕下、三段目、序二段、序の口と地獄を見るように落
ちていく。特にケガでの長期休場はそう。相撲の世界では、ケガによる欠場でも負けとな
り、特に長期のケガともなると半年や一年くらいかかる。そうなると 2 場所、3 場所の全
敗となってしまう。番付はどんどん落ちるばかりだ。普通は下の方まで番付が落ちるとや
る気をなくし、引退への道となるはず。そんな相撲の世界にあって、格別の人がいる。元
横綱照ノ富士(現:伊勢ヶ浜親方)だ。

 この照ノ富士もモンゴル出身ながら恵まれた体力と持ち前の運動神経の良さから 2011
年に初土俵。順調に昇進し 2015 年 5 月場所で初優勝し、翌場所には大関昇進(初土俵か
ら大関昇進まで 25 場所で歴代 3 位)。次は横綱かと思われていたが、ここからケガと病気
(糖尿病、腎臓結石、C 型肝炎)によって休場が続き序二段まで落ちて行った。ケガや病
気により 15 戦全休であっても 15 戦全敗と同じに扱われ、番付はどんどん下がっていく。
体力、気力もボロボロとなり、何度も師匠に引退の申し出をするも、そのたびに師匠から
「次の人生のためにも、まずは体を治してからだ。治療に専念して、やめることは、その
後に考えなさい」と言われ、1 年間にわたる闘病生活を経て復帰。一度落ちたら這い上が
るのが難しいのが相撲の世界。序二段から大関、横綱になるのは奇跡といわれたが、照ノ
富士はそれをはねのけ第 73 代の横綱となり、今年の 1 月、初場所中に現役を引退表明し、
6 月には師匠の元横綱旭富士の定年退職(65 歳)により、伊勢ヶ浜部屋を継承し、第 10
代の伊勢ヶ浜親方となり、後進の指導に当たっている。モンゴルの人でありながら、日本
人以上の人がいるものだ。我々が照ノ富士から学ぶべき事は何か。どんなことがあっても
「あきらめない粘り強さ」ではないだろうか。

 今、経営の世界で流行っている「レジリエンス(困難や難問に直面してもそれに適応し、
そこから回復、復元する力、まさに折れない力)」という言葉が流行っている。この言葉
は彼のような人をいうのだろう。

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取締役会長
浅沼邦夫