2025/10/28世間の学校
数字は語る「3.62%」
サラリーマンの給料は、どのようにして決まるのだろうか。給料も労働者の提供する労
働の対価としての価格である以上、原則論からいえば、市場における労働者と経営者の価
格交渉、需要と供給の原理によってなされる。しかし、現実の市場から考えると、労働者
が使用者と価格交渉しているのはプロ野球選手のようなスポーツの世界か芸能界くらい
のものであり、殆どの場合、経営者の呈示する価格に従う以外に道はない。そのため、力
に勝る経営者(優越的地位)は、かなり自由な価格を呈示しがちであり、劣悪な労働条件
に陥りがちであるので、法律(労働基準法、労働組合法)でもって最低限の労働条件を定
めると共に労働者の団結権、団体交渉権、争議権(労働基本権)を認めて労働者は労働組
合の結成を通して、労働条件の改善が図る方向が示されている。
ところで、公務員(国家と地方)には、労働基本権が認められない代わりに人事院制度
を設け、公務員の給与水準の勧告が行われている。8 月 7 日、人事院は 2025 年度の国家
公務員の月給とボーナスを引上げるよう国会と内閣に勧告した(いわゆる人事院勧告)。
給料は 3.62%、ボーナス 4.65 カ月で民間企業の状況(大企業を中心)を参考にしたもの
で 1991 年以来の高水準となっている。優秀な学生の公務員離れは続いており、その原因
の 1 つに給料があることは確かなようだ。東京大学の優秀な学生は大手のコンサルタント
会社(マッキンゼー、ボストンコンサルティングアクセンチュア、デロイト・・・)を目
指すという。初任給で年俸 1,000 万以上も出すところもあるという。コンサルタント会社
と公務員では、給与面での差があまりにも大きすぎる。かつての東京大学の優秀な学生が
財務省や日本銀行に行っていた時代が遠い昔のようになってきた。優秀な官僚が日本経済
を支えていたことは確かであり、政治の劣化が続いている現状を考えると優秀な公務員に
よるバックアップは欠かせない。その意味でも公務員の給料についても考えて行く必要が
ありそうだ。