2025/07/31世間の学校
数字は語る「2,000 万人」
人の一生という人生において、生まれた時代、生まれた両親、生まれた場所等、様々な
条件があり、本人にとっては、どうしようもなく、選択の余地のないものがある。もし今、
ガザで生まれたらどうなっているだろうか。もし今、ウクライナのロシア占領地域で学生
時代を送っていたらどうなってしまうのだろう。まさに運命のいたずらとしか言いようが
ない。
日本の場合、1945 年の終戦以降、1990 年位までは、高度成長のおかげで昨日より今日
が良くなる、今日よりも明日の方が良くなるという夢と希望のある右肩上がりの良い経済
状況にいた。しかし、同じ日本人に生まれながら、不幸な世代というものもある。いわゆ
る就職氷河期世代がそれで、その人数も 2,000 万人を超えるという。1993 年から、2004
年の間に高校や大学を卒業した就職氷河期、超氷河期の世代は、大変な時代に生まれたこ
とになる。
1990 年をピークにバブル経済は崩壊し、縮小均衡に陥った日本経済は、3 つの過剰(ヒ
トの過剰、設備の過剰、債務の過剰)を、一生懸命そぎ落とし、ヒトは採用しない、むし
ろリストラ。設備は更新しない、むしろ工場閉鎖。お金は借りない、むしろ借金返済まっ
しぐら。こんな経済状況では、まともな就職口はない。まさに就職氷河期世代。これが
10 年近くも続き、その数が約 2,000 万人。この世代の多くの人々は、正社員にはなれず、
アルバイト、パート、派遣社員といった非正規雇用が多い。なぜ非正規雇用かといえば、
正社員にすると人件費が高くなるので、なるべく正社員は取らないという企業側の方針が
推し進めた。特に社会保険料負担の回避が大きい。非正規雇用者は、就職が不安定である
ばかりか、その賃金も低い。そして、低賃金、低収入のため社会保障負担の回避が低年金
となってくる。この人たちの老後はどうなるのか。みんなが生活保護に行ったらどうなる
のか。放置しておけないのは事実として、どうしたらよいのか。この世代に対する対策は
他人事としてはいられない。ブーメランとして我々に返ってくることが大問題となってい
る。