2025/07/02世間の学校
数字は語る「1,120 人」
上場企業の場合、決算内容の開示が厳格になされており、時期や内容が厳格に守られて
いる。その中に 1 億円以上の役員報酬を取っている人については、個別開示がなされてい
る。上場企業の有価証券報告書を見ると、その内容がわかる。各役員がいくらの報酬を取
っているのかは、まさに個人情報そのものであるが、社会的責任のある企業の場合、国家
に準じた開示が求められている。
政府関係でも内閣総理大臣、最高裁判所の長官、日本銀行総裁等については、個別の開
示がなされている。法的根拠としては、民主主義を有効に機能させるためには、積極的な
国民への情報開示が不可欠であり、そのための国民の知る権利の延長線上の問題といえる。
個々の企業にとっても多額の役員報酬を取ることには様々な問題がある。業績が悪いの
に多額の役員報酬を取っているとしたら、役員失格の問題になるかもしれない。一方、こ
れだけの業績を上げたのだから、それなりの報酬を取るのは当たり前ともいえる。日本の
企業は、サラリーマン社長が多く、サラリーマンの延長線上で役員を考えており、サラリ
ーマンの最高額を少し超えるくらいの役員報酬がかつては多かった。
それが一変したのが外国人役員の登用(代表は、日産自動車のカルロス・ゴーン氏)に
よって、プロの経営者としての報酬にとって代わり、1 億円以上取るのは当たり前となっ
た。2023 年度において、役員報酬 1 億円以上の役員が 1,120 人となった。多いか少ない
かは別として、経営者の世界においてもプロスポーツの世界と同じように考えれば、プロ
ゴルフの松山英樹やプロ野球の大谷翔平のように、いくら稼いでも、それ以上の成果を出
すのであれば問題ないのかもしれない。世はまさにプロ経営者の時代になりつつある。