2025/05/30世間の学校
人を読む「齋藤ジン」
正体不明の人間ではあるが、その発言には示唆に富む所が多い。特にトランプ大統領の
登場によって、これからの世界がどうなるか戦々恐々としている不確実な時代にずばり
「これからどうなる」と提言する珍しい人といえる。
2024 年 12 月に初めての著書「世界秩序が変わるとき-新自由主義からのゲームチェン
ジ」(文春新書)は言う。日本は今、数十年に一度の千載一遇のチャンスを迎えていると。
東西冷戦のあとの世界秩序を支えてきた「新自由主義」が崩壊し、勝者と敗者がひっくり
返る「ゲームチェンジ」が起きているのだと。
どこで生まれたのかわからない、どこの大学を卒業したのもわからない。はっきりして
いるのは、1993 年に単身で渡米し、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院
修士となり、投資コンサルティング業務を営むG7グループを経て、2007 年にオブザバ
トリー・グループ(OG)共同設立者となり、地政学分析と日本政治、金融政策、財政政策、
為替、規制政策に精通した著名な日本エキスパートであることは間違いない。並外れた洞
察力には定評があり、彼の一言、一言には、常に耳を傾けておく必要がありそうだ。世界
の経済のリーダーであるアメリカの動き、特にトランプ大統領になってアメリカがどう動
くか、相互関税によってアメリカ、そして世界、日本がどう影響を受けるのか、こんな予
測不可能な時代にあって、適切な助言のできる確かな人の登場が望まれる。齋藤ジンはそ
んな人のようだ。