2025/05/02世間の学校
話題の企業「高等専門学校(略して高専)」
経済社会が健全に成長していくためには、それを担う人材が不可欠だ。その人材育成機
関として今、最も注目されている学校が高等専門学校(高専)だ。そもそも高専が誕生し
たのは 1962 年。産業界や経済界から実務密着型の高度人材を養成する期待から、工業高
校の 3 年では短いし、理系大学 4 年は理論倒れしている。丁度その中間の 5 年制の専門学
校が欲しいという要請から誕生した。
海外でも日本の「KOSEN」は世界的な人材育成として注目されている。小学生は 7 才~
12 才、中学生は 13~15 才、ここまでが義務教育で最低限の「読み、書き、ソロバン」の
基礎能力。この段階で基礎的な知識と読解力、理解力が要請される。この先どうするか。
高専は、夢と希望にあふれる 15 才の若者が入学のスタート。この若さが大きい。そして
5 年間の一貫教育で実習中心に社会に役立つ人材を育成する場所となっている。
全国に 58 校(国立 51 校、公立 3 校、私立 4 校)がある。各学年に約 1 万人なので、各
学校の平均生徒数は 200 人以下。だが、どの大学よりも理系人材を多く輩出しており、累
計卒業生は 50 万人くらいとなっており、その教育に注目が集まっている。中学卒業後の
普通高校の 3 年間は、受験勉強にあけくれ、目標大学の過去問の傾向と対策にあけくれ、
一番大事な時期に創造性が発揮されない。まさに受験の弊害が大学教育にも及び、偏差値
市場主義の人間の格付けが問題となっている。
それに対して、高専のすごさは、15 才のスタートから、問題意識を持ち、自ら考え、
工夫をして、想像力を発揮できる場として、最高の教育が行われているのではないか。日
本にも、こんなに優れた教育機関があることを忘れないで欲しい。企業成長のベースはイ
ノベーション。その担い手は理系人材の裾野を広げること。高専こそ、その担い手にふさ
わしいところはないのかもしれない。