2025/05/02世間の学校
言葉は語る「予測可能性」
会計事務所の主要な仕事の 1 つとして、決算書の作成がある。決算書は、P/L、B/S、C/F
を中心としてある過去の一定期間の経営成績、財務状態、資金状態を明らかにするもので
ある。いわば、経済活動の結果を明らかにするという意味で過去の出来事である。
経営者が知りたいのは「会社はこれからどうなるのか」という将来の情報である。歴史
家は言う、将来の事を知りたければ、今を知れ。今を知りたければ過去を知れ。過去の歴
史を学ぶことによって、将来の事が分かるという。しかし、この考え方は、果たして本当
だろうか。どのような状況の下でも妥当するのだろうか。政治や経済や安全保障が保たれ
ている平時においては、予測しやすい。予測しやすい時代にあっては、歴史が参考になり
やすい。しかし、不安定な時代では予測が難しくなる。特に今年の 1 月にアメリカ大統領
になったトランプ氏の動静については、予測することが困難な人といわれている。世界の
リーダーであるアメリカのトップの行動の予測可能性が困難であるとすると、日本の政治
や経済や経営の動向はどうなるのだろうか。
日本の政治、経済、会社経営は、アメリカ抜きでは、語れない。あまりにもアメリカへ
の依存度が強くなっているからだ。とすれば、日本の経営の舵取りをどう行っていけば良
いのか、予測せずにその場主義的に行き当たりばったりの成り行き主義で行くのか、それ
とも別の方法を考えるのか。いかに予測困難の時代とはいえ、成り行き経営ではまずいの
ではないか。予測しつつ、素早く訂正して予測の頻度と修正の頻度をあげていく以外に方
法がないのかもしれない。今の計画は、一定の予測可能性を前提としている。その予測可
能性が不確実になれば、それなりの対応が求められる。予測できない状況の変化を常に意
識して絶えず修正、変更を考えねばならない時代に突入したといえそうだ。朝令暮改こそ
が当たり前の時代が続きそうだ。