2025/04/07世間の学校
人を読む「イチロー」-努力と出会いと少しの運
2025 年 1 月 21 日、イチローが米大リーグの野球殿堂入りを果たした。殿堂入りはメジ
ャーで 10 年以上プレーし、引退から 5 年経過した元選手らが対象で、全米野球記者協会
の 10 年以上在籍する記者の投票で 75%以上の獲得が条件。日本勢では、2014 年に野茂英
雄、2018 年に松井秀喜が候補者となったが、ともに落選。アジア人初となるだけでなく、
得票率も 99.7%となった。2024 年は、大谷翔平一色だったため、イチロー選手のことは忘
れていたが、やはりすごい選手であることは間違いない。
ところで、イチロー選手は、日米の野球界において数々の記録を残した。日本で 7 年連
続の首位打者、アメリカではシーズン最多安打、MVP、日米通算 4257 安打と記録ずくめと
もいえる。しかし、スポーツ選手の記録を一般の人々が塗り替えることはできない。一般
的にスポーツ選手は、並外れた身体能力を持っており、その身体能力を限界まで訓練して
最高のパフォーマンスを発揮するとされている。身体能力そのものは、始めから一般人と
比較にならないほどの違いがある。となると、一般人はイチロー選手から何を学ぶべきな
のか。彼の姿勢における真摯さ、あきらめない力、粘り強くやり抜く力、そして、何より
も彼の言葉から我々は学んでいくべきではないか。決して恵まれた体力があるわけではな
い彼が如何にして偉大なバッターになり得たのか。彼の言は「努力と出会いと少しの運」
という。特に、「出会い」は、大切にしたいものだ(彼によれば、オリックス時代の仰木
監督との出会いが大きいという)。
更に「少しの運」も面白い。運に頼らないことは大切かもしれないが、全く運に見放さ
れた人生も考えにくい。「少しの運」は、運頼みにならないことと、幸運に感謝する姿勢
の表れともいえようか。結局、我々が彼から学ぶべきことは、運をあまり当てにせず、出
会いを大切にして日々精進するという当たり前のことを日々実践していくことなのでは
ないだろうか。