2025/02/27世間の学校
言葉は語る「投資の時代-連結決算と個別決算-」
日本は国土が狭く(山が多く、可住地面積が国土の約 30%)、人口が多く(1 億人以上)、
資源が少ない。このような状態で国民の生活を如何に確保するか。特に食糧やエネルギー
の確保は、国民生活や生産活動に不可欠。このため、これらの資源の殆どない日本では、
海外からの輸入が必要不可欠。この輸入代金を支払うためには外貨(特に米ドル)の獲得
が至上命題。日本で作ったものをどこの国へ持って行けば買ってくれるのだろうか。日本
よりも先進のアメリカが門戸を開放してくれて日本の品を買ってくれた。こうして戦後日
本は、貿易立国として外貨稼ぎによる経済成長を実現した。輸出主導型の高度経済成長で
ある。
しかし、日本の貿易黒字は、海外(特にアメリカ)の貿易赤字、貿易不均衡の是正は不
可欠となる。これを回避するために企業は、国内生産をして、それを海外輸出する方式か
ら海外生産、現地販売へと切り替えた。結果どうなったか。国内産業の空洞化が始まった。
モノの輸出は少なくなり、そのための国内での設備投資はなくなり、変わって海外企業(子
会社)への投資が増えた。投資は殆ど海外で行われ、企業の海外子会社の稼ぎが企業収益
の主要部分を占めるようになり、海外子会社からの配当金収入が日本の親会社で飛躍的に
増えている。配当金は投資の果実であり、投資が利益を産み、利益の一部が配当となって
日本に還元している。まさに投資立国となっている。
問題は海外子会社が稼いだ利益の一部は現地での再投資に向かい、残りは親会社への配
当金へ。海外子会社からのもらった配当金を親会社はどう使うのか。ここが問題であり、
投資立国のあり方が試される時代になってきたことを忘れないで欲しい。日本企業は 600
兆円を超える資金を持っており、まさに cash rich である。この cash を何に使うのか。
研究開発、人的投資待ったなしの時代に。
また、投資立国においては、連結決算と個別決算の関係の理解が不可欠である(親会社
の利益の大部分は受取配当金であるとすると、受取配当金の益金不算入制度により、親会
社は法人税等の負担が極端に少なくなっている点に注目)。世は、連結決算中心の時代と
なっているが、投資立国の判断には、やはり個別決算(親会社)の理解を忘れないで欲し
い。連結中心主義の盲点についてもきちんと学んでおく必要がある。