2025/02/27世間の学校
人を読む「上杉 鷹山」
人物を取り上げるとき、各界において、現在活躍中の人、将来有望と思われる人を取り
上げることも大切だが、歴史上の人物も結構参考になる。「歴史は繰り返す」ではないが、
我々は歴史から学ぶことは案外多い。当然そこには、歴史上の人物も含まれる。
ところで、「藤原正彦の代表的日本人(文春新書)」という本が最近出た。お茶の水女子
大学教授であった藤原正彦氏の本である。代表的日本人といえば、内村鑑三の本「代表的
日本人(岩波文庫)」が有名。そこでは、①西郷隆盛 ②上杉鷹山 ③二宮尊徳 ④中江
藤樹 ⑤日蓮 の 5 人を取り上げている。明治維新の立役者としての西郷隆盛、米沢藩主
として、疲弊した藩財政の立て直しをした上杉鷹山、質素倹約、勤勉な農業教育者として
の二宮尊徳、儒教学者として尊敬され、近江聖人と言われた中江藤樹。そして、宗教家と
しての日蓮。この本は、日本人とは何かを海外に紹介するために最初から英語で書かれた
もの。
それから 100 年以上がたち、藤原氏は新しい代表的日本人(現代版代表的日本人)を書
いた。そこで取り上げている人物は、①関孝和(江戸時代の数学の大家) ②上杉鷹山 ③
福沢諭吉 ④北里柴三郎 ⑤河原操子(女子教育者) ⑥柴五郎(陸軍軍人)の 6 人。
そして、この 2 つの本で共通しているのが上杉鷹山。出羽国米沢藩 9 代藩主として、
藩財政の立て直しに尽力。彼の事を詳しく知りたければ童門冬二「上杉鷹山」、藤原周平
の「漆の実のみのる国」を読めば良い。彼の言葉「為せばなる 為さねばならぬ何事も
為さぬは人の為さぬなりけり」は余りにも有名。江戸時代の藩は現代の企業に通じるも
のがある。特に「人をいかに活かして使っていくか」については、名君の誉れありで、
今日の企業経営者も学ぶべき点が多い。