2025/02/27世間の学校
時流を読む「トランプ関税でどうなる世界経済、どうなる日本経済」
2025年1月よりトランプ大統領の政権がスタートした。トランプ大統領は型破りな大統
領として、世界中が注目している。その予測可能性は困難を極めている。そうは言っても
アメリカ経済は世界経済に依然として大きな影響力を持っている。トランプ氏は、選挙中
を通して、自らを「Tariff Man(関税男)」と称しており、自分の一番好きな言葉の1つ
として「Tariff(関税)」をあげている。その対象国は、中国を念頭に置いているが、日
本、韓国、台湾の他、カナダ、メキシコといった国々も対象のようだ。しかもその幅も
10%、20%といったことまで考えていると言われている。あとはdeal(取引)として、
どこまで歩み寄れるか、その代償として、何が支払われるかということらしい。
ところで、何のための関税かといえば、海外との競争で敗れた伝統的産業(ラストベル
ト)の労働者を保護するためという。海外から安い製品がアメリカに輸入されることによ
り、価格競争力を失ったアメリカ企業が追いやられ、失業か輸出されることになり、アメ
リカの労働者が犠牲になるという。自由貿易を拒否し、関税を大幅に引上げることにより、
アメリカの雇用を創出し、「make America great again」を実現しようという思惑のよう
だ。しかし、関税の大幅な引上げが果たしてアメリカの労働者を救うのだろうか。
経済成長は産業構造の転換(新陳代謝)を通して行われるもの。製造業からサービス業
中心の社会を実現したアメリカでは、巨大なテック企業が誕生した。このような産業構造
で一般の商品について、高い関税を行っても労働者を救済する製造業が復活するとは思わ
れない。高関税で苦しむのは高い輸入品を買わされる消費者であるアメリカ国民とみるべ
きかもしれない。高関税はインフレを招くといわれている。このインフレの進行は、世界
経済そして日本経済にも押し寄せてくるのではないだろうか。もし高関税、高価格をドル
高で調達するとすれば、その影響は多少減少するかもしれないが、それも不確定だ。トラ
ンプ新時代の経済潮流は、予測困難な経済時代の始まりかもしれない。長いデフレに慣れ
た日本人、日本企業はインフレへの備えは十分か。注意が必要である。関税即インフレと
はいわないまでもアメリカから当分目が離せなさそうだ。