2025/02/12世間の学校
話題の企業「ドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナル)」
日本の小売業は時代と共に変わってきている。戦後の絶対的な物不足の時代から「もは
や戦後ではない」という時代、そして大量生産、大量消費の時代へ。その後のバブル景気
の崩壊の後の長いデフレの時代、そして現代へ。この間に小売業の主役は目まぐるしく交
代した。三越、高島屋、伊勢丹といった百貨店の時代、ダイエー、ヨーカ堂、西友、イオ
ンといった総合スーパーの時代。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートといった
コンビニの全盛時代。その次にヨドバシ、ユニクロ、ニトリといった専門小売店の時代。
そして新しい小売業の御三家として、ドン・キホーテ、オーケー、ロピアの活躍する時代
へ。
今回は、この中からドン・キホーテを取り上げたい。世の中にはすごい会社が結構ある
ものだ。平成の長いデフレの時代、殆どの企業、個人は、借金を減らし(過剰債務)、人
を減らし(過剰人員)、設備・モノを削減して(過剰設備)、身軽な身体へと減量につぐ減
量の時代。まさにダイエット全盛の縮小均衡の時代。それが新型コロナ禍、ロシアによる
ウクライナへの軍事侵攻からエネルギーや食料品価格の高騰から一転して物価上昇のイ
ンフレへ。めまぐるしく変化するこんな時代でも 34 年連続の増収増益を達成している会
社がある。ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・イ
ンターナショナル(PPIH)である。
売上高は 2 兆円超え(2024 年 6 月)、国内外でディスカウントストアやスーパー等、約
800 店舗を展開する。どうしてそんなに成長し続けることができるのか。価格の安さだけ
でなく、おもしろさを取り入れることで、さまざまな消費者(30 代、40 代、インバウン
ド、その他)のニーズにいかに応えるか。その中心は、便利さ(コンビニエンス)、低価
格(ディスカウント)+おもしろさ(アミューズメント)にあるという。消費者の心にグ
サリと差し込む「おもしろさ」は、他の小売業には殆どない。お酒ドンキ、お菓子ドンキ、
キラキラドンキといったカテゴリー別の小売業の面白さは他にはない。そして、主語を変
える(売り場ではなく、買い場等)、その発想にもびっくりもの。中小企業の経営者にと
っても参考になるはずだ。