2024/12/26世間の学校
人を読む「粟田 貴也(あわた たかや)」
今、外食産業の中で最も元気な企業の1つが、丸亀製麺。その企業母体がトリドールホ
ールディングスだ。直近(2024年3月期)の財務データを見ると、連結売上高:約
2,300 億円、営業利益:145 億円、当期純利益:56 億円と、巨大な企業となっている。こ
の会社を 1 代で築き上げたのが、粟田貴也。兵庫県神戸市に 1961 年 10 月に生まれる(63
才)。県立高校から神戸外語大学に進むも中退。スタートは、兵庫県加古川市にオープン
した小さな焼き鳥屋。この小さな焼き鳥屋を 2,000 億を超える売上高を誇る巨大企業にの
し上げたのが社長の粟田貴也。どうしてこんなに大きな企業になったのか。
まず、焼き鳥屋がなぜ、うどん屋になったのか。焼き鳥屋に限らず、どんな商売にも共
通するものとして、「どうしたら、お客様に来てもらえるだろう」。これを考え続けること
が不可欠。きっかけは、香川県の製麺所の体験。製麺所の行列を見て、打ちたてのうどん
を食べる体験に感動したこと。おいしいうどんを食べて「おいしかった」「また行きたい」
と思った人は、何万人もいるかもしれない。しかし、これをセルフうどんの業態と組み合
わせ、多店舗展開することまで、イメージできたのは粟田氏のすごいところ。
そして、この業態を超ハイスピードで大きくできたのは、2 つの理由があるからだ。丸
亀製麺に行けばわかるが、「感動」という体験価値を中心に捉え、人を大切にする経営理
念の 2 つである。必ず店舗で製麺し、打ちたて、ゆでたてを提供するという。非効率と言
われようが、セントラルキッチン方式を採用せず、作り置きもしない。打ったばかりのう
どんをその場でゆでて食べる製麺所の成功こそが丸亀製麺の強みに他ならない。そして、
この感動は、人を感動させるのは人以外にはないという企業理念の下に人を大切にする点
だ。2024 年 3 月には麺職人(理想的なうどんを作る専門人材で丸亀製麺独自の人材育成
システム)の全店配置がついに完了。
「うどんであなたを驚かせたい」をコンセプトに拡大している企業で成功するためには、
やはり「こだわり」が不可欠なのだろうか。