2024/11/29世間の学校
人を読む「斉藤 元彦」(前兵庫県知事)
エリートが奈落の底に落ちるとき。斉藤元彦氏はまさにその例かもしれない。順風満帆
に進み、知事を 2 期か 3 期やり、衆議院に転出し、将来は内閣総理大臣を目指す人だった
のかもしれない。どこで、どうしてつまずいたか。人は誰でも学べるし、どこからでも学
ぶことが出来る。しかし、学びというと、どうしても成功した者からのサクセスストーリ
ーになりがち。学校の教科書しかり、伝記物語しかり、日本経済新聞の私の履歴書しかり。
しかし、実際には、多くの失敗例の方が、学べることが多いのではないか。我々は人の失
敗を「あいつはバカだから」といって一笑に付して終わっているのではないか。むしろ、
失敗例を詳細に分析して、それを回避できたなら成功への道が近づくのではないか。斉藤
元彦氏の場合は、それがかなりはっきりしているのではないか。
1997 年兵庫県神戸市生まれ、地元の小学校を卒業して、愛媛県の進学校、愛光学園に
進学し、6 年間の寮生活。1 年浪人して東京大学の経済学部へ。そして、卒業して総務省
へ。総務省では各地方の出向が多く、現場経験(地方自治の本当の姿を学ぶ)をするが、
各地方では総務省出身者を「殿様扱い」されることが多く、それがターニングポイントに
なったと言われている(なぜ、みんなは、私を大切にするのか。私が優れているからだと
思い込む。私の言う事はみんな聞いてくれる)。
そして、極めつけは、2018 年 3 月の大阪府出向、維新の松井知事の下で「身を切る改
革」で評価を受け、2021 年 3 月の兵庫県知事選に自民党と維新の会の推薦で当選し、42
歳の知事誕生。それが、100 条委員会で様々な悪行が暴かれ、9 月 19 日全会一致で不信任
決議が可決され知事失職、再選挙へ。指摘事項は以下の通り。寅さんの言葉ではないが、
「それをやったら、それを言ったら、おしまいよ!」
・厳しい叱責(上手な叱り方とは何かを考えよう)
・机を叩く(机は書を読んだり書くところ)
・パワハラ(言葉に注意、相手の立場に立って話そう)
・強い調子で怒鳴る(もっとやさしく話せないのか)
・理不尽な叱責(相手の意見をきちんと聞いてから注意しよう)
・文具を投げつける(文具は書くのに使うもの。投げるものでなない)
・深夜、休日の連絡(仕事は勤務時間内に)
・聞いてない、勝手にやるな(意思疎通は正確に。指示はわかりやすく)
どんな経営者であっても、これだけはやってはいけないのかもしれない。