2024/11/13世間の学校
人を読む「安田 隆夫」
1949 年(昭和 24 年)に岐阜県大垣市に生まれる。1973 年(昭和 48 年)に慶応大学法学部
を卒業。自分はサラリーマンに向いていないと考え、経営者になろうと決意し、小さな不
動産会社に就職するも、入社 10 ヶ月で会社は倒産。この不動産会社がとんでもない会社
で、いわゆる原野商法の悪徳会社。以後、長い無頼と放浪の時代を過ごす。プロの麻雀士
として生活するも、どん底の地獄を見る。
そして、一念発起して、1978 年(昭和 53 年)、29 歳の時にディスカウントショップ「泥
棒市場」を西荻窪に開店。深夜営業でヒットし成功を収めるも、5 年で売却。そして、バ
ッタ屋「リーダー」を設立。これが利益をあげるが卸業から小売業への再参入を決意させ、
1989 年(平成元年)に「ドン・キホーテ」1 号店を東京都府中市に開店。幾多の失敗や苦難
を乗り越えながら急成長。
「ドン・キホーテ」の店舗に入ってみればわかるが、豊富な品揃え、雑然とした陳列。
しかし、その価格の安さには驚く。「見やすく、取りやすく、買いやすく」の小売業の王
道の逆を行く逆張り経営で成功する。圧縮陳列、深夜営業、手書きの POP、まさに「驚安
の殿堂」。どうして、こんなに安く仕入れることが出来るのだろうか。利は元にありを地
で行く店舗。そして、1996 年(平成 8 年)に株式店頭公開。1998 年(平成 10 年)に東証 2
部。2000 年(平成 12 年)には東証一部へ。2015 年(平成 27 年)まで「ドン・キホーテ」
の代表取締役、CEO を勤め、そして退任。
現在は、「ドン・キホーテ」グループの創業者兼最高顧問。一代で無一文から売上高 2
兆円超の小売業を育て上げた異端児。驚くのは、これだけではない。平成不況の中にあっ
て今年の決算で 35 期連続増収増益は驚異的そのもの。そして、売上高売上総利益率(荒
利)だって 30%以上(2024 年 6 月期)と決して薄利多売ではない。安田隆夫の人生は、多
くのビジネスマンにヒントを与える。会社を大きくするには、1 人だけでやっていては ダ
メ。他人の利用が不可欠。個から集団へ。集団の活性化は権限委譲が不可欠。やらせてみ
ると他人は結構やるもの。