2024/09/30世間の学校
話題の企業「鰻の成瀬」
夏が近づいて来ると、暑い日々が続き、夏バテ回避のため、ウナギが恋しくなる。猛暑
をウナギで乗り切る。土用の丑(うし)の日は、ウナギに限る(今年の土用丑の日は 7 月
24 日と 8 月 5 日)というように、夏場はウナギの季節といえる。しかし、ウナギは高価
で贅沢なイメージが強く、老舗のウナギ店では、1 人前が 3,000 円~4,000 円もする。こ
れでは、そう簡単に「うなぎでも食べようか」とも言えない。これをもっと安く食べられ
ないか。これを実現した会社がある。「鰻の成瀬」だ。
フランチャイズビジネスインキュベーションが、2023 年から多店舗展開を始め、1 年半
で全国 200 店舗超に拡大。社長の山本昌弘氏は、「日本人が昔から親しんできたうな重を
もっと気軽に味わって欲しい」との思いから、老舗ウナギ屋の半額程度で 1.5 倍の量をコ
ンセプトに展開している。
もともとウナギは、「秘伝のタレ」と「串打ち 3 年、裂き 8 年、焼き一生」と言われる
職人技の世界で誰でも参入できる世界ではないと言われていた。それを 1,600 円(梅 1/2
匹)、2,200 円(竹 3/4 匹)と低価格を実現しているのが「鰻の成瀬」。安さの実現には職人
を不要としたり、中国で養殖したウナギを現地工場で捌き、かば焼きにして冷凍で輸入。
店舗では解凍などの仕込みをして注文ごとにオーブンで焼くだけなので、時間も早い(老
舗ウナギ屋では、最低 30 分以上は調理時間がかかる)。牛丼の吉野家ではないが、早い、
安い、うまいがウナギの世界でも実現できるのかもしれない。
どんな市場でも、顧客の声に耳を傾けていけば、いろんなビジネスチャンスがあること
を教えてくれる例ともいえる。老舗ウナギ屋さんとの競合はどうなるのか。これがどんな
影響を与えるのか。しっかり見守っていきたいところだ。