会計事務所/税理士のための決算診断システム「社長の四季」

株式会社プロス/社長の四季

決算診断コラム

会計事務所経営・企業経営のお役立ちコラム

世間の学校
言葉は語る「上場廃止」

 一般的には、企業の成長とともに企業の社会性が増大し、多くの利害関係者(株主、銀
行、取引先、従業員、地域社会等)との関係も出来てくると、従来のプライベート・カン
パニーからパブリック・カンパニーへと進んでいく。パブリック・カンパニーの典型例が
企業の上場であり、これにより、名実ともに公開企業となっていく。その意味では、株式
上場こそ本当の企業の目標となるものである。

 これに対して、上場廃止とは、既に上場している会社が何らかの理由で上場要件を満た
さなくなり株式市場からサヨナラをするもの。一般的には、業績が悪く、赤字続きで、債
務超過に陥ったり、会社の内部統制が著しく劣悪で信頼できる決算書を作れない(いわゆ
る粉飾決算)といったケース(上場廃止基準に抵触)が殆どであったが、最近は別の理由
で上場廃止が増えている。

 最近ではコンビニ大手のローソンが、KDDI が株式保有を 50%まで増やし、三菱商事と
の共同経営等に見えるように完全子会社化をする事による上場廃止もある。更には、上場
会社は様々な規制があり、ガバナンス、コンプライアンス、開示規制、法定監査等、公開
企業としての規制の強さが企業の自由度を妨げるという理由で、MBO(マネジメント・バ
イ・アウト)によるケースもある。ベネッセ H や、大正製薬 H 等にみられる。

 このように一口に上場廃止といっても様々なケースがあるので、その内容については、
注意深く見ておく必要がありそうだ。なお、ドイツは上場企業が 600 社程度なのに日本は
4,000 社弱もある。同じような経済規模でこの数字の違いも考えておく必要がある。

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取締役会長
浅沼邦夫