2024/07/01世間の学校
時流を読む「人件費、コストから投資の時代へ」
デフレからの脱却にとって、物価上昇は不可欠。政府、日本銀行は、長い間 2%の物価
目標を考えており、その物価目標を上回る賃上げの実現こそが経済の好循環と考えていた。
今年の春闘では、労働者(労働組合)にとって笑いの止まらない記念すべき年となりそう
だ。
毎年、大手企業の賃上げは、労働組合との交渉によって妥結が図られている。失われた
30 年はデフレ時代でもあり、賃金は殆ど上がっていない。賃金は上がらないものと考え
ている人も多い(昭和 30 年代、40 年代、50 年代、60 年代までは、高度成長で毎年のよ
うに賃金は上がり続けた。それも 5%以上。多いときは 10%以上と)。年収 300 万の時代が
長く続いていた。
しかし、その流れにもようやく終止符を打ち、物価は上昇し始め(食料品や石油製品、
及びそれらを主原料とする製品等)、もし賃金が上がらなければ実質賃金は低下し、生活
はますます苦しくなる。それを回避するためには、賃金 up しかない。そして、その賃上
げも、物価上昇以上の up が不可欠。企業にとって人件費は、固定費であり、一度上げた
らその負担は将来に渡って続く。そのため、人件費 up には経営側として慎重にならざる
を得ない。
企業業績が好調で自信をつけた企業が、この春闘で満額回答どころか、それ以上の回答
をするという。大手賃上げ 5%超、中には日本製鉄のようになんと 14%up。高度成長の時期
を思わせるような大盤振る舞い。どうして企業は人件費の大幅 up を考えるのか。その背
景にあるのは、「企業の成長は人にあり」という思想があり、人件費をコストとして見る
のではなく、人財費用として、投資として、有能な人材にたいしては、それ相応の支払い
をするという義務であり、まさに人件費から人財費への時代に入ってきたのかもしれない。