会計事務所/税理士のための決算診断システム「社長の四季」

株式会社プロス/社長の四季

決算診断コラム

会計事務所経営・企業経営のお役立ちコラム

世間の学校
話題の企業「京成電鉄(株)」

 私鉄(旧国鉄は、分割民営化で現在はJR各社として私鉄となっているが、この点を除いて考
える)といわれる会社は、国民の足として、全国各地に存在しているが、主要な私鉄は、首都圏
と関西圏に集中している。人口の多い地域ほど、輸送人員が多く、そのためのニーズが高い。関
西では、区間距離では近鉄、財務内容では阪急、阪神といわれており、首都圏でも、区間距離で
は東武、財務内容では東急といったところか。私鉄各社は、鉄道輸送といった地域独占を生かし
ながら、沿線各地の開発を行っており、不動産、住宅、デパート、スーパー、娯楽設備、介護、
看護、教育という各方面の展開も試みており、沿線価値の向上につとめているが、各社とも似た
ような状況にある。主要な違いは、脱鉄道になるのかもしれない。このような私鉄業界の中で異
彩を放つのが京成電鉄だ。

 京成電鉄は東京から千葉を核として、上野~成田の沿線が中心。ポイントは成田空港を抱えて
いる点だ。インバウンドやアウトバウンド(日本人の海外旅行)で新型コロナ禍の打撃を回避す
ると共に、コロナの収束と共にその回復は顕著となっている。この点で似たような状況にあるの
が、京浜急行だ。東京から神奈川を核として、品川~横浜、横須賀の沿線が中心。成田空港に対
して、羽田空港があるのも似ている。財務内容は 2023 年 3 月期について見てみると、京成は
売上高約 2,500 億円、営業利益約 100 億、京浜急行も、売上高約 2,500 億、営業利益も約 100
億と同じようなレベル。それでは、企業価値はどうか。企業価値の代表的な指標として、株式時
価総額があるが、京浜急行が約 4,000 億円なのに対して京成は約 1 兆円と倍以上の開きがある。

 どうして、こんなに違いが生じるのか。似たような企業でどうしてこのような違いが出てくる
のか。その応えは、ディズニーランド(オリエンタルランド)にありそうだ。そう、京成電鉄は
オリエンタルランドの 20%位の持株があるのだ。これが連結利益株式時価総額にどう影響して
いるのか(オリエンタルランドの当期純利益は 800 億円程ある)検討してみる必要がありそうだ。


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取締役会長
浅沼邦夫