2024/05/07世間の学校
人を読む「今井 むつみ」
今、AI の進化がすさまじい。生成 AI、チャット GPT の登場によって、人間の不要論まで出て
くる時代。何でも AI によって置き換えられる時代かもしれない。そんな時代に人間の役割は何
か。これからの時代、人間はどのような学び方をしなければならないのか。AI に出来ることを人
間が学んでも仕方ない。AI に出来ないことは何か。それを学びに結びつける以外に方法はないの
かもしれない。そのため、学びの本質についての議論が華々しい。この時代「今井むつみ」は欠
かせない。今井むつみ(64 歳)は、日本の心理学者で専門は認知科学、言語心理学で現在、慶應
義塾大学環境情報学部教授。「言語の本質」(中公新書)、「ことばと思考」(岩波新書)、
「英語独習法」(岩波新書)、「学びとは何か」(岩波新書)、その他「学び」に関する著書多数。
人間は「学び」を通して進化し、成長していく。学校教育もしかり。そして、ここでは、記憶
中心の学びとなっている。しかし、現代は人間が記憶から解放されようとしている(全てはスマホ
の中に入っている)。電話番号、メールアドレスは覚える必要はない。読みたい本のあらすじは
一発で検索。おいしいイタリアンの店がこの近くにないかもすぐわかる。今から三時間後に銀座に
行くには、何時に出れば良いか・・・殆どのことを覚える必要がなくなっている。学びとは、覚え
ること、記憶力を高めることと思っていたら、それ全て AI がやってくれる。それでは、我々は
何をどうやって学べばよいのか。「学習の本質」を改めて考え直す必要がある。
そこで今井むつみの登場である。認知科学の知見を通して、赤ちゃんからどうやって大人になっ
ていくのか。この学習の過程を通して「学びとは何か」を考える。彼女によれば「赤ちゃんは AI
より天才だ」ということになる。赤ちゃんの進化の過程をしっかり見ることにより、「学びの本質」
が見えてくるという。「学び」を真剣に考える人にとって、今井むつみは、外せない人だ。