2024/02/28世間の学校
言葉は語る「メンズコスメ」
消費のトレンドを見る時、定点観測は欠かせない。どこを見て消費のトレンドを考えるのか。
1 つの視点は、デパートにあるといわれている。デパートが苦境に陥っているとはいえ、なんと
いっても小売業の王様であることは、その取扱商品、立地からして当然と言えるかもしれない。
そのデパートの顔ともいうべき最高立地が 1 階である。この 1 階を長年にわたり占拠しているの
が化粧品売場。化粧品といえば、女性というのが今までの常識かもしれない。しかし、今では、
男性用化粧品が急速に拡大している。男性も化粧する時代になったといえる。
しかし、そもそも、人は、何故、化粧をするのかを考えてみる必要がある。身体に付着する
汚れたものを水で流すといった原状回復型の清潔さ。これは、男女を問わず行われている。石鹸、
洗剤、保湿クリーム等、安全、衛生、清潔といった健康状態の維持、保全、いわば汚れ落としの
段階からより美しく見せる、よりきれいに見えるというのは、動物の求愛を見ればよくわかる。
動物の世界では、男性が女性の気を引くためにきれいな声で唄ったり、きれいな羽を広げてみたり、
美味しい香を出したり、様々な演技、演出を通して、男女の恋が行われている。それでは、人間は
どうか。化粧は女性の専売特許のようにもみえるが、世界の国々では、それぞれ事情があるようだ。
しかし、現在の男性化粧品の需要拡大は、日本だけでなく、世界中の動きのようだ。主なターゲッ
トは、Z世代(1990 年代以降に生まれた世代で生まれたときからインターネットが利用可能であっ
た人類史上最初の世代、いわゆるデジタルネイティブでもある)。先頭を走っているのは韓国系
(ティルティル、VT 等)だが、日本メーカーも負けじと頑張っている。人口の減少で縮む消費の
中での数少ない男性化粧品の伸びへの期待は大きい。こういった消費の新しい潮流から目が離せな
い。チャンスはどこにでも転がっているのかもしれない。