2023/12/28世間の学校
人を読む「金子みすゞ(1903~1930)」童謡詩人
「天災は忘れた頃にやってくる」とは、災害の事であるが、人間にも一定の周期で注目される人がいる。金子
みすゞは、そんな人の 1 人でもある。早世の童謡詩人、金子みすゞは、今年で生誕 120 年。26 才で早世するま
でに、約 500 編の詩を残すも存命中は全く注目されず、没後も約半世紀は、ほぼ忘れられた存在であった。しか
し、1980年代以降に脚光を浴び再評価されるが、何といってもブレイクしたのは 2011 年の東日本大震災の公益
社団法人 ACジャパンの公共広告である。殆どの日本人が打ちひしがれていた時、このままではダメだ。何とか
励まそうと公共広告は金子みすゞを放映し続けた。
人間が苦境に陥った時、絶望の淵に陥った時、自分を見つめ直す時、金子みすゞはいつもそばにいる。
「私と小鳥と鈴と」「大漁」「こだまでしょうか」「みんな違ってみんないい」は、多くの人々を癒やし、
慰めた。人生は山あり谷あり。全て順調に行くものではない。どんな人でも失敗したり、失恋したり、試験に
落ちたり、借金で困ったり。家族に不幸があったり、病気をしたり・・・。不運な時代、不幸な時代に不安な
時代に陥る事がある。自分の責任の問題でもあるが、偶然に生じたり、誰かのとばっちりを受けたりと、自分
では、どうしようもない時がある。そんな時に金子みすゞは、一服の清涼剤を我々に与えてくれる。
今、まさに、金子みすゞが再ブームとなっているという。それも世界的に。世界は、今、平和な時代から戦
争、紛争の時代にはいっているのかもしれない。ウクライナ、ロシア、イスラエル、パレスチナ・・・。それ
だけ、世界中が不安な時代なのかもしれない。こんな時代こそ、「金子みすゞ」は読まれてよいのかもしれな
い。