2023/11/30世間の学校
言葉は語る「株式分割」
最近、証券市場で「株式分割」を行う企業が増えている。NTT の 25 分割を始めとして、5 分割が JR 東海、
信越化学、4 分割が京セラ、アドバンテスト、3 分割が本田技研、村田製作所、東京エレクトロン、東京海上、
日本郵船、そして、2 分割がマブチモーター、元気寿司、ヤクルト本社といった具合に優良企業として高株
価の名だたる企業が軒並み株式分割を行っている。NTT(日本電信電話株式会社)の現在の株価(令和 5 年
6 月 23 日現在)が 4,120 円です。NTT の株主となるためには、最低限 100 株(単元株)が必要なので、
412,000円の資金が必要となります。(手数料は無視しています。)理論的には、1 株購入できれば、株主に
なれるはずですが、現実には、余りに多くの株主が出てくることは株主事務が繁雑となるため、一定数の株
式保有者にのみ議決権を付与する(単元株)方式がとられているため、単元未満の株主は事実上株主として
扱ってもらえません。そして、NTT の場合は、100 株が単元株式の単位となっています。最低これだけのお
カネがないと株主になれないとすると、簡単には株主になれそうにない。そこで、どうしたら簡単に株主に
なれるのか、毎日のスーパーでの買い物と同じとは言わないが、それ位の感覚で株主になれる道はないか。
そこで利用されるのが「株式分割」です。株式分割とは、1 株を 2 株にしたりするように、経済的実態に
は何の変更もなく、発行済株式数のみ増加させるもの。株主平等の原則を働くため全ての株主に対して一律
に一定割合の増加をもたらす。何故そんなことをするのかといえば、株式を購入しやすくするのが大きな狙
いです。今回、NTT が行った株式分割は、1 株を 25 株に分割するものです。(2023.7.1)。今まで 100 株持
っている人は 2,500 株持つことになります。株数が 25 倍になるので、株価は理論的には 1/25 となり、4,000
円の株価とすれば、160 円になります。単元株を 100 株とすれば 1 万 6,000 円あれば、株主となることがで
きるので、かなり気軽に株主となることができそうです。株式市場が健全に機能するためには、できるだけ
多くの人々が参加し、できるだけたくさんのお金が市場に入ってくることが望まれます。今回の NTT の株式
分割は、簡単に株主になれる道を作ったという意味では、株式市場への参加者を増やし、市場を活性化する
という点では、良い結果をもたらすのではないかと期待されています。