2023/10/02世間の学校
人を読む「稲盛和夫」
経営の神様といえば、松下幸之助、しかし、それに負けないくらいの人が稲盛和夫。ともに立志伝中の人であ
り、松下幸之助が昭和のカリスマ経営者なら、稲盛和夫は平成のカリスマ経営者であることは間違いない。その
彼が2022 年 8 月 24 日、90 才で死去。90 才だった。早いものでその日から 1 年以上経て、改めて彼の思考を
考えてみたい。神様といわれる人からきっと多くの学ぶべき事があるのに相違ないはずである。彼の生涯は、苦
労や挫折の連続。大病はするし、受験には落ちるし、上司と衝突するも、1959 年に 8 人の仲間と無一文から会
社設立。それが今日の京セラの始まり。今や(2023 年 3 月期)の連結売上高 2 兆 253 億、純利益 1,279 億の大
企業へ。実学、「アメーバ経営」、京セラフィロソフィー、盛和塾・・・その経営への貢献は大きい。圧巻なの
は、KDDI の誕生と、日本航空の再建。
しかし、学ぶべき所は、やはりアメーバ経営と「成功の方程式」では、ないだろうか。まず、前者の問題から
考えてみようか。組織が大きくなると、誰が何をやっているのか。どこの部門が稼いでいるのか、わかりにくい
といった弊害が出てくる。アメーバ経営は、組織を小集団に分け、部門別に採算や目標を月単位で管理すること
で、社員一人ひとりが経営に自主的に参加することを目指している点にあるといえよう。会社経営の見える化の
原点ともいえる。1 対 1 の原則は、会計の世界の「費用対収益の法則」をミクロの世界に落とし込み、徹底した
ものといえる。更に後者の「成功の方程式」は、「人生、仕事の結果=考え方×熱意×能力」というもので、人
世を成功させるためには、このうち「考え方」が特に大切で、他の 2 者はやればやるほどプラスに作用するが、
(少なくともゼロ以下にはならない)、「考え方」だけは、マイナスにもなり得る点を指摘している。いずれに
しても、この考えは今日でも色あせることはない。そして、稲盛哲学の原点には、常に会計の世界があることも
忘れないで欲しい。