2023/08/28世間の学校
言葉は語る「オーディオブック」
「本といえば読むもの」というのが半ば常識といわれているが、今や聞く時代に入っている。読むから聞くへ
の転換が登場してきた。一口に本といっても、学者や研究者が著作物を作るためにインプットする読書と、ビジ
ネスや友人との会話での話題作りのための読書とは全く別物。更に国家試験等の受験勉強のための読書も、また
違ったやり方が考えられる。このように多様な読書のあり方を考えれば、「読む」だけでなく「聞く」もありか
な、と思われる。今、声優らが朗読した音声を聞いて楽しめるサービス「オーディオブック」が人気だ。
ビジネス書や小説の場合、会社での会話や友人、知人との会話や話題作りに欠かせないもの。「あれ読んだ」
「あれ面白いね」といった、たわいもない会話のために読書時間を多く消費するのは得策ではない。何よりも本
を一冊きちんと読んでいたのでは、タイパ(タイムパフォーマンス)が悪い。更には、「可処分時間」の有効利
用にならない。聞くだけなら、通勤電車の中でも、マイカーの中でも他人に迷惑をかけることもなく出来るのか
もしれないし、家で掃除や洗濯、皿洗いの合間でも時間節約して楽しめる。内容だけを知りたければ、1.5 倍
や 2 倍速で聞くことだってできる。哲学書や学術書であれば、くり返し聞くといった読み方や、聞き方もが必要
かもしれない。深く掘り下げて研究する読書でなければ多様な読み方は可能なはず。しかも、月額定額でできる
となると時間効率は最高となる。これも時間ビジネスの新しい形態といえるのかもしれない。「本は読むもの」
という固定観念にとらわれない柔軟さが求められる時代になったようだ。