2023/08/28世間の学校
数字は語る「15 兆円」
会社(特に株式会社)の目的って何だろう。そもそも論から考えるとおもしろい。ベースを個人と考えると、
ある個人がいくらかのおカネを持っているとする。このおカネをもっと増やしたいと考えるとすると、どうする
か。自分で増やすか、自分よりもっと上手に増やしてくれる人に委ねるか。自分でやるより、はるかにうまい人
(個人なり、会社なり)に、おカネを託するか。自分よりもっと沢山おカネを増やしてくれて、何倍ものおカネ
にして、そのおカネを戻してくれるとする。
こんな有り難い話はないかもしれないが、これが、会社を設立して、会社に資金提供して、会社から資金の返
還(配当)、そして、返してもらうという基本的な考え方である。会社の目的は利益獲得にありと言われるが、
その主旨は株主や債権者等からの資金提供を受け、それを何倍もの大きさにして(その源泉こそ利益)、株主等
に返還(配当の支払と自社株買い)することにあると考えると、利益分配(剰余金の分配)である配当こそ重要
となる。
今年度の 3 月期決算の会社の配当総額が約 15 兆円となり、過去最高だったようだ。企業が獲得した利益に
対応する cash を一部は株主へ配分し、他の一部は事業投資に充てて更なる発展を求める動きが一段と加速され
ようとしている。長い間利益を殆ど貯め込んだ企業から cash の有効活用を本格的に企業政策として展開する企
業が多くなり「日本企業は買い」という方向性から今年 5 月以降株式市場が活況を呈している。配当は税収増
(源泉所得)、個人所得の増による消費拡大と経済成長にプラスに作用する。個人も定年後の人生設計において
年金プラス配当という構図が描かれるかもしれない。配当が老後資金の一部として年金にプラスできる社会にな
れば「日本買い」は続きそうだ。