2023/06/23世間の学校
話題の企業「セブン&アイ・ホールディングス」
セブン&アイ・ホールディングスといえば、イトーヨーカ堂、セブンイレブン、そごう、西武、デニー
ズ・・・。あらゆる小売業の業態を保有する日本の小売業のチャンピオン。2022 年度には、日本の小売業で
初の 10 兆企業となった。しかし、この会社も、全ては順調ではなかった。
上場企業の場合、株主からの視線は厳しい。企業価値を高め、株主価値の向上が強く求められる。特に上場
企業の株式は、誰でも自由に買うことができる。世界中の人々に株主となるチャンスは与えられており、東京
株式市場においても外国人株主の存在は大きい。いわゆる「物言う株主」である。株価を上げよ!配当を増や
せ!株主還元をもっとしろ!このような厳しい要請に会社側は応えていかねばならない。上場企業の場合、
決算は基本として連結ベースが中心となる。連結決算では、各子会社や各部門が全て合算されてしまうので、
全体としての利益状況は、わかるが、どの部門が好調で利益を伸ばしているのか、逆にどの部門が赤字で業績
の足を引っ張っているのかが見えにくい。そこでセグメント情報という形で部門別の業績の開示を行っている。
セグメントをどう区分するかは、問題であるが、経営者がマネジメントベースで最適な部門を考えて開示して
いる。
セブン&アイ・ホールディングスの場合、コンビニ事業が利益を牽引しており、百貨店部門はお荷物となって
いる。企業収益を高める方法には、黒字部門を強化するか、赤字部門を切り離すか、2 つの方法があるが、手っ
取り早いのが赤字部門の切り離しであり、どうしても、百貨店部門に目が行く。百貨店業界は全国的にも閉店
ラッシュが続いており、構造的不況業種といわれ、その業態変革が求められている。そして、とうとう百貨店
部門からの撤退である、西武百貨店の最高立地である池袋本店の売却が進み始めている。いくらで誰が買うの
か。今、その行方に注目が集まっている。更にはスーパーのイトーヨーカ堂も問題がある。家具はニトリに奪
われ、衣料品はユニクロに奪われ、八方塞がりの感がある。これも撤退すべきという要請もある。要するに儲
かるコンビニに特化しろということかも。このことは、上場企業だけでなく、中小企業においても同じとみる
べきだ。赤字部門を明らかにして赤字部門をどうするかは、避けて通れない問題である。