2023/02/28世間の学校
話題の企業「東京科学大学」
今、日本の大学には、2 つの大きな問題を抱えている。1 つは少子化と大学数の問題である。毎年生まれてく
る人口動態がある。団塊の世代の時は、270 万人位が毎年生まれていた。それ以前と比べて桁違いの人口増であ
り、先生が足りない、教員が足りない、学校が足りない、教室が足りない。50~60 人学級は当たり前の時代。
その後、人口減少に転じるも、団塊の世代が親となり、子どもを産む。いわゆる団塊ジュニアの時代。ここで
は、人口は 200万人台と依然として多かった。しかし、その後は人口減少の一途、昨年は、とうとう 80 万人を
割ってしまったようだ。まさに少子化そのもの。これに対して、大学の数は増えている。大学の特色を出そうと
新しい学部や学科を作り、定員数を増やしている。その結果、当然、定員割れの問題が生じ、大学は生き残りを
かけて、いろいろな特色を作ろうとしているが、いかんせん、日本の大学は数が多すぎる。整理統合は不可欠で
ある。これが第 1 点。
もう 1 つは大学のグローバル化の動きだ。世界に通用する大学作りは急務。アメリカには、ハーバード、エー
ル大、マサチューセッツ工科大・・・。世界の英知を集める大学が目白押し。日本はどうか。東京大学、京都大
学くらいしかないし、それも世界から見れば学生の質、海外留学生の数、予算規模も見劣りする。強い日本の大
学作りの1 つの方向を与えたのが「東京科学大学」の誕生だ。2024 年中に統合することで基本合意した東京工業
大学と東京医科歯科大学の新たな大学の名称である。文部科学省は 10 兆円規模の「大学ファンド」の運用益で
支援する国際卓越研究大の公募を始めている。新大学は、テクノロジーを医療に活かす「医工連携」の強みを発
揮することが目標としている。頼もしい動きだ。大学改革待ったなしの時代の始まりといえよう。強い日本は、
強い教育、強い教育の原点は、強い大学作りにあることに注目したい。