2023/02/28世間の学校
言葉は語る「自然資本」
企業活動の基本が、より良いモノ(サービス)をより安く、より多くの人々へ提供することにあるといわれ
る。それこそが企業の社会貢献そのもので、その過程で顧客、従業員、取引先等との良好な関係が構築される。
しかし、この企業活動の結果、有害な物質(例えば Co2)を排出したり、多量のゴミを排出したり、他の植物
や動物が生きていくことが出来なくなってしまったら、どうなるのか。我々は企業の経済活動と言えば「お金
に始まり、お金に終わる」と考えてお金中心主義で考えがち。生命あってのお金、地球あってのお金という肝
心な点を忘れがち。このような視点から、企業活動の見直し、特に投資のあり方が問われるようになった。
2022 年 12 月中旬、生物多様性条約第 15 回締約国会議(COP15)にあわせ、世界の投資家が注目する発表が
あった。ESG(環境、社会、ガバナンス)や、気候変動、生物多様性、人的資本といった従来の投資の枠組みを
越えるものとして自然資本という概念に言及し始めた。全ての経済活動は地球の中で行われる。地球あっての企
業活動であり、地球をダメにするような企業活動は長期的には成立しえないのは当然であり、この方向性は、
避けられない。これからの企業は、目先の利益に一喜一憂するのではなく、より広い視野で地球を見つめる視点
が求められる。地球を大切にすることは、自然を大切にすることにつながり、まさに自然資本の時代の到来とも
いえる。自然資本とは、人工資本に対応する概念で、機械、自動車、建物等は人間が作ったもので人工資本とい
われるのに対して、自然環境を経済活動の原点、企業経営基盤を支える重要な資本のひとつとして捉える。
今、この自然資本に注目が集まっている。