2023/01/30世間の学校
数字は語る「300 万」
サラリーマンの働き方改革が注目されている。殆ど給料の増えなかったこの 30 年。低成長の背景には、低生
産性がある。低生産性の根本は人事生産性。人の働く力が弱いから生産性が低い。この人の生産性を高めるに
はどうすべきか。働き方改革の中心はここ。究極的には、人への投資を増やすことと伝統的な雇用制度である。
①終身雇用制度、②年功序列型賃金制度の変革である。メンバーシップ型の雇用形態からジョブ型雇用へと進む
と共に、兼業・副業 OK の時代になるものと思われる。そこで出てくるのが、この兼業・副業収入の課税問題。
当初、国税庁は、金額基準を考えていたようだ。収入金額 300 万円以下なら全て雑所得。それ以上なら一定の要
件で事業所得と。もし、兼業・副業の所得を事業所得とするならば事業所得が赤字なら本業であるサラリーマン
としての給与所得と損益通算することにより、税負担を軽減できる。
しかし、兼業・副業収入を雑所得とするならば、雑所得の赤字は本業である給与所得と損益通算できない。
常識的に見て、兼業の赤字分は本業である給与分から補填するはず。この赤字の通算を認めないとは、おかしい
と考える人が多い。そして、兼業・副業促進という時代の要請にも逆行していることから、国税庁の 300 万基準
のパブリックコメントに対して一大ブーイング。こうして、兼業・副業所得に対しては、帳簿作成の有無で判断
するという方向に落ち着きそうだ。実質的に見ても兼業・副業の初期段階では赤字続きが殆どのはず。兼業・副
業サポートすることの重要性や、担税力からみても損益通算できるという方向性は望ましく、新しい雇用形態に
対応するものといえよう。安易で形式的な 300 万基準は問題が多い。