2022/12/26世間の学校
人を読む「本多静六」
世の中にはこんなすごい人がいることを教えられた。東大教授でありながら蓄財の神様。そして、蓄積し
た財産は全て寄付。やった仕事がさらに素晴らしい。林業研究の第一人者にして日本の公園のほとんどを手
がけ、公園の父とも言われる。特に SDGs(持続可能な開発目標)が世界的な大合唱の今日、それを先取り
したともいえる素晴らしい研究者がいたことを日本人として誇りに思う。
今、再び「本多静六」を考えてみたい。1866 年(慶応 2 年)に埼玉県の久喜市で生まれる(現在、久喜市
に本多静六記念館がある)。家貧しくて苦労多く、苦学して東京農林学校(現在の東京大学農学部農林学科)
を卒業。農業、林業を学ぶためにドイツのミュンヘン大学に留学し、博士号を取得。留学から帰ると東京帝
国大学農科大学の助教授となり、日本で最初の林業博士となる。日比谷公園の設計を始めとして、日本全国
の公園の造営に携わる。その業績は、目をみはるものがある。なかでも圧巻なのは、明治神宮内苑の人工林
の設計。100 年後の森(鎮守の森)を見据えた思考は、今日の SDGs(持続可能な開発目標)を先取りして
いるともいえる。どんな木を植林するのか、人工林でありながら自然森との調和を考える。
また、彼は学究とは別に「蓄財の神様」として知られ、25 歳から始めた 4 分の 1 天引き貯金と 1 日 1 ペー
ジの原稿執筆によって、現在の価値にして 500 億円を越える私財を作り、東京帝国大学退職時には 376 冊も
の著作を残した。しかも、それらは、全て寄付され「人生即努力、努力即幸福」の精神のもとに早期の人生
計画を立てることの大切さを学ぶ。こんなすごい人から学ばない手はないと肝に命じたい。