2022/11/04世間の学校
人を読む「山岡朝子」ハルメク編集長
若者の本離れがすさまじい。1 年に 1 冊も本を買わない大学生の何と多いことか。町の本屋さんもどんどん
消えていく。今、出版不況がすさまじい。もう本は売れないのか。出版業界はダメなのか。誰もがそう思う今、
すごい編集者がいることを忘れてはならない。山岡朝子。ハルメク編集長だ。1997 年に大阪大学文学部を卒業
し、「主婦と生活社」に入社。4~5 年目にプチ編集長となり、20 代向けのインテリア誌で、このジャンル
では、破格の 10 万部を突破。幹部から「おほめの言葉」をもらえると思いきや、ガツーンと一発「1,400 万の
赤字だから休刊にする」。そして、根拠として示された資料が売上や売上原価や販管費といった数字の羅列。
利益の間に沢山の項目があるのがわからず茫然自失。
この失敗で「大好きな雑誌を守るには数字を理解しないとダメ」。そして、一念発起してグロービス経営大学
院に進む。そこで学んだ事は ①論理的思考力(ロジカルシンキング)、②俯瞰する習慣(ミクロとマクロと相
関関係、短期・中期・長期の時系列的把握)、③数字の理解(アカウンティングとファイナンス)、④人間関係
(人とのつながり)の 4 つ。元来の地頭の良さに目的意識を持った学びの意思は強く、飲み込みが早く、卒業
までの 3 年間でマスター。
2017 年のはじめに奇妙な一通の手紙が会社に来る。ハルメクからのヘッドハンティングの始まり、そして入
社へ。定期購読専門で読者対象は 50 代以上の女性誌を部数 3 倍の 47 万部へ。成功の鍵は前の出版社でのプチ
編集長経験と MBA で学んだことの経験値と実践値の融合か。環境を言い訳に経営の悪さを仕方ないとあきらめ
ている経営者には、破格な人物に見えるかもしれない。しかし、彼女から学ぶべきことは多い。