2022/07/15世間の学校
数字は語る「2,000 兆円」
日本銀行は、3 ヶ月毎に資金循環統計を発表している。それによると日本人の家庭の金融資産は、昨年末で
2,000兆円を突破したようだ。
個人は、一生懸命働いて所得を稼ぐ。稼いだ所得のうちの多くは生きて行くため、あるいは、より豊かなくら
しを行うために消費をする。そして残ったものが貯蓄として、金融資産を構成する。人生には、様々なイベント
がある。結婚、子育てと教育資金。そして、自動車や住宅といった耐久消費財の購入。これらを通して、貯めた
貯蓄を取り崩したり、借金をしたりする。金融資産がはじめて 1,000 兆円になったのが、1990 年。それから、
30年あまりで倍増。賃金がこの 30 年の間、殆ど上がっていないのに(所得が増えていないのに)どうして貯蓄
が増えるのか。将来不安から消費を抑えて預金にまわす傾向が強かった。30 年前から倍増。半分強が現預金。
国際的に見て、安全志向は突出している。日本では家庭の金融資産が銀行経由で間接的に国債に向かっているよ
うだ。
日銀のバランスシートを見ると、銀行の余剰資金は日銀の当座預金に向かったが、その資金で日銀が国債を買
っているので、間接的に国民が日本国債を買っていることになる。一方、アメリカでは、金融資産の半分以上が
株式と投資信託に向かい、それが株高という資産効果を通して、消費を押し上げている。この株高のおかげでア
メリカでは国民の金融資産がこの 30 年で 6.7 倍になっており、日本の 2 倍とは、桁違いである。個人の株式
購入は「消費から投資」への経済成長の原動力であるが、金融資産の差がそのまま経済成長の差に反映している
のかもしれない。リスクなきところリターンなしなのかもしれない。国民はもっと投資を考える時代になってい
るようだ。