2022/05/25世間の学校
話題の企業「たねや 」― キーワード"違いを見つけろ"
滋賀県近江八幡市といえば、近江商人(三方よし-売り手良し、買い手良し、世間良し)の発祥の地として有
名。そこに全国展開している「お菓子屋さん」の「たねや」グループがある。和菓子の「たねや」の他、洋菓子
「クラブハリエ」の「バームクーヘン」。更には近江八幡の郊外にある「ラ コリーナ近江八幡」も話題になって
いる。
もともとは、和菓子屋だった「たねや」は、どこにでもある街の小さなお菓子屋さんだったが(創業は 1872
年)、ターニングポイントは 2 つ。1 つは、和菓子だけから洋菓子への広がり。もう 1 つは田舎のお店から
全国展開へ。
食べ物は地域性の強い産業でもある。その地方、地域の特産品としての性格が強い。伊勢の赤福、広島のもみ
じまんじゅう、札幌の白い恋人・・・。必ず頭に地域の名が登場してくる。あそこに行ったら、アレを食べなき
ゃ。アレを食べたければあそこへ行けと。特に和菓子の地域性、地場性は強い。そして、近江八幡には建築家、
宣教師としてヴォーリズ(メンソレータムで有名な近江兄弟社を作り、多数の西洋建築物も手がける)との出会
いが和菓子から洋菓子への展開のきっかけとなる。
もう 1 つは百貨店で行われる有名店の出店で隣りがなんと羊羹の老舗「とらや」。「とらや」と闘っても勝ち目
はない。なんと言っても相手は和菓子のチャンピオン。どうしたら「とらや」に勝てるか。そうだ、「とらや」
と違うことをやれば良い。ここに差別化の原点があり、これらの 2 つから今日の「たねや」の発展を作ったとい
える。このままではダメだ。しかし、あきらめずに考える。そうした視点が新しい付加価値の誕生のきっかけとなる。