2022/04/05世間の学校
数字は語る「145 社」
会社の値段ともいうべき株価がどのように決まるのかについての法則があるわけではないが、会社は経済単位
と捉えれば、財務状況、収益状況、投下資本に対する利回りといったところが考慮されるのではないだろうか。
そこで、純資産、配当利回り、将来に対する収益力への期待等、様々な財務的要素が考慮されていることは確か
と思われる。企業の経営者も株価に一喜一憂することなく、経営にまい進しているのが実情であろう。
しかし、株価を全く無視して経営することも適切ではない。何故なら株価は、経営者に対する経営成果である
通信簿的意味合いをもっているからである。丁度、学生が試験結果である通信簿を意識して勉強に取り組むのに
似ている。そして株価の延長線上に企業の株式時価総額というものがある。これは、企業が発行している発行済
み株式総数に、その時の株価を掛け合わせた金額で、今の株価で全ての株式を購入したらどの位の金額になるか
を表わしたものである。全ての株式を一度に市場で買えるのかという現実的な問題もあるが、これは、あくまで
も、仮定としての話である。そして、この株式時価総額が一応その企業の経済価値といわれている。株式時価総
額の高い順に優良企業の序列とほとんど一致しているのにも、うなずける。1 つの目安として 1 兆円という数字
がある。売上高 1 兆円、経常利益 1,000 億円といった優良企業の指標の中に、株式時価総額という指標もある。
この株式時価総額 1 兆円以上の企業が 2021 年 12 月 23 日時点で 145 社となり、過去最高となったようだ。
これについては、新しく加わった企業(ミスミ G、ホトニクス、神戸物産等)もあれば、脱落した企業(TOTO、
三菱重工、コーセー、京王等)もあり、更には、再び加入した企業(日本郵船、三菱ケミカル H、アイシン、
ヤクルト等)もあり、まさに企業の栄枯盛衰を物語っている。企業は時代と共に生き、時代をリードしていく存
在でなければならないが、トータルとして数の増加は日本経済を導いている企業の強さといえるかもしれない。
アメリカの GAFA のような巨大企業ではないにしても、株式時価総額 1 兆円は、やはり大きい。世界では 100 億
ドル企業として、2100 社にのぼる。日本の GDP の 6~7%であると考えると妥当な数字ともいえる。しかし、
日本経済の潜在力を考えると、せめて 10%くらいは欲しいものである。